生活保護制度の現状と課題
日本の生活保護制度は、絶対的貧困(衣食住の確保が困難な状態)を防ぎ、最低限の生活を保障。特に高齢者、障害者、ひとり親世帯の貧困防止に寄与するものです。
貧困問題への対応として重要なセーフティネットですが、利用のハードルの高さや制度の限界も指摘されています。
生活保護制度の概要
目的と法的根拠
生活保護法(1950年制定)に基づき、困窮する国民に最低限の生活を保障し、自立を支援するために設けられており、憲法25条(生存権)が根拠となっています。
受給条件
収入や資産が厚生労働省の定める最低生活費(生活保護基準)を下回り、親族による扶養や他の社会保障制度(年金、失業保険等)が利用できない場合に支給されます。
支給内容
生活扶助(食費や光熱費)、住宅扶助、医療扶助、教育扶助など8種類があります。金額は地域や世帯構成で金額が異なります(例:東京の単身世帯で月約12~13万円)。
受給者数
2023年時点で約204万人(全人口の約1.6%)、高齢者世帯が約半数を占めています(厚生労働省)。
財源
国が4分の3、地方自治体が4分の1を負担しています。
制度に対する批判
捕捉率の低さ
貧困層のうち生活保護を受給しているのは約2~3割であり、OECD諸国では5~7割という状況に比べて捕捉率の低さが特徴的です。
いざという時や自分で事業を起こすために余裕資金を保有したいと希望をしてもそれは許されず、所持金がほぼなくなるまでは申請が通りません。
また、扶養の可否を福祉事務所が民法上の扶養義務者に対して問合せを行なう調査があるため、申請を躊躇するケースも見られます。
さらに、申請の複雑さや窓口での申請を事実上拒む対応なども、捕捉率が低い原因となっていると言われています。
※捕捉率: 生活保護を必要とする人のうち、実際に生活保護を受けている人の割合
最低限以下の保護基準
生活保護基準は最低限の生活を想定しており、余暇・娯楽・交際といった文化的・社会的生活に掛かる費用が考慮されていません。
生活保護を受けている期間は定期的に地区担当員が自宅を訪問し、積極的に仕事を探すこと、余分な資産(電化製品や車など)を持たないことなど厳しい指導を受けます。
医師による診断で就労困難と判断された場合を除き、体力的にきついなどの理由で就労することに消極的な場合には、生活保護費の支給を打ち切られる場合があります。
低賃金で重労働の非正規求人がほとんどである中高年層にとって、就労の強制は過酷なものである場合があります。
事実上生活保護の生活は最低水準以下であり、生活保護費だけでは足りないからといって少しでもアルバイトをすると、その分がまるまる生活保護費から減額されてしまいます。
したがって、いったん生活保護を受けてしまうと、生活を立て直すための資金を貯めることも難しくなります。
人との交際には外食費や交通費などの経費が掛かります。貧困は地域や親族とのつながりを弱め、孤独感を高めます。
貧困は抑うつ症の原因になりやすく、生活保護を受けてる者に対する行政側の厳格な対応は、さらに本人の精神状態を悪化させるという悪循環が生じさせる可能性があります。
このような内容は、日本国憲法第25条にある「健康で文化的な」最低限度の生活を営む権利を反故にしていると言わざるを得ず、また生活保護からの復帰を困難にしています。
生活保護の実体
生活が苦しいので子供がアルバイトをしたら、その金額が生活保護費から減額されました
最低限度の暮らしも出来ない、生活保護費受給者の実態
エアコンは贅沢品扱い。熱中症で死ぬリスクがあっても、生活保護は守ってくれません
山本太郎、質疑応答集
・医療費改革をやらないと日本は倒産してしまうのではないか
・財務省対策をどうするか
・農業に対する今後のビジョンは
・国が財政破綻をするとしたらどんな時か
・障害者や高齢者など介護が必要な家族がいる者に対して今の社会は厳しい
ほか